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- ソーシャルグッド戦略部
秋晴れのお天気に恵まれた2022年11月10日・11日の2日間、乃村工藝社のお台場本社にて「ソーシャルグッドウィーク2022」が開催されました。今回で3回目を迎え、よりスケールアップしたイベントの様子をレポートします。
“ソーシャルグッドウィーク”って?
乃村工藝社グループでは2021年からソーシャルグッドをキーワードに、社会貢献につながる様々な活動を始めました。ソーシャルグッドウィークは、この取り組みやアイディアを社内・社外に広く発信し、みんなでソーシャルグッドな情報をシェアするとともに、“未来につづく幸せ”を一緒に考えるきっかけとなるイベントとして毎年開催しています。
これまでのソーシャルグッドウィークのレポート記事はこちらからご覧いただけます。
ソーシャルグッドウィーク2022 プログラム
・トークセッション
・サステナブルカフェ
・R&D活動紹介
・サステナブルマルシェ
熱いパッションにあふれた『トークセッション』
社会の最先端でソーシャルグッドに取り組むゲストを迎え、6本のトークセッションを開催しました。いずれも熱いパッションと冷静な研究・分析に裏付けられた内容で、これからの社会を考えるヒントにあふれたセミナーとなりました。会場は毎回満席となるとともに、オンラインでも多くの視聴者が耳を傾けました。
トークセッションのアーカイブ映像をご視聴希望の方は、こちらよりご登録ください。
今話題のスペシャルなゲストが登壇した「特別講演」
これからの社会貢献のあり方を展望する特別講演。「ぜひお話を聴きたい!」と思いオファーさせていただいた2組のゲストのご登壇が叶いました。
どちらの講演もトップランナーならではの「想い」や「信念」が熱く語られ、聴衆の心を揺さぶっていました。
特別講演① 『福祉を起点に社会を変える ~アートと空間デザインの可能性~』
松田 崇弥 氏 株式会社ヘラルボニー 代表取締役社長CEO
松田 文登 氏 株式会社ヘラルボニー 代表取締役副社長COO
山口 茜 株式会社乃村工藝社 デザインディレクター
特別講演② 『Between Nature and Architecture』
藤本 壮介 氏 建築家
青野 恵太 株式会社乃村工藝社 no.10 デザインディレクター
これからのまちづくりを考える「ウェルビーイングセミナー」
乃村工藝社では、今年からウェルビーイングをテーマにしたセミナーを開催しています。このシリーズとして、今回のイベントでは「まちづくり」をテーマとした2本のプログラムが行われました。
ウェルビーイングセミナー①
『ウェルビーイングなまちづくり ~地域住民と育てるコミュニティスペースとまちづくり~』
山崎 亮氏 studio-L代表/関西学院大学建築学部教授/コミュニティデザイナー/社会福祉士
原田 綾子氏 エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社 経営企画室 オープンイノベーション推進部
神庭 慎次氏 studio-L コミュニティデザイナー
梶村 直美 株式会社乃村工藝社 プランナー
ウェルビーイングセミナー②
『ウェルビーイングなまちづくり ~公民連携で取組む、まちのにぎわいと愛着づくり~』
石丸 寛之氏 北海道小清水町 企画財政課長
藤森 茂和氏 株式会社ルネサンス 地域創生推進部 地域創生チーム専任課長
大橋 隆太 株式会社乃村工藝社 プランナー
アカデミアからの未来のヒント「R&Dセミナー」
ソーシャルグッドな社会を実現するためには、産官学連携の取り組み、そしてテクノロジーや人間工学の進化にも大きな可能性が期待されます。今回は乃村工藝社グループのR&D活動を行うチームが連携している3人のゲストをお迎えし、お話を伺いました。
R&Dセミナー①
『産学連携で「共生社会」をつくるアートコミュニケーション共創拠点 ~「芸術×テクノロジー」の取り組みから多様な人々が結びつく新しいコミュニティの形をつくる』
伊藤 達矢 氏 東京藝術大学社会連携センター 副センター長/特任教授
菅原 充 氏 株式会社QDレーザ 代表取締役社長
松本 麻里 株式会社乃村工藝社 デザインディレクター
R&Dセミナー②
『ヒトをとりまく音の話』
上田 麻理 氏 神奈川工科大学情報学部 准教授
青野 恵太 株式会社乃村工藝社 no.10 デザインディレクター
山口 茜 株式会社乃村工藝社 デザインディレクター
トークセッションのアーカイブ映像をご視聴希望の方は、こちらよりご登録ください。
サステナブルカフェ
さて昨年のソーシャルグッドウィークはセミナーがメインでしたが、今年は実際に見て、触れて感じることのできる「展示」がお客様の興味を集めていました。中でも一番人気だったのが、サステナブル素材だけを使って空間を構成した「サステナブルカフェ」。
デザイン段階でよく使われる10センチ角程度のサンプルではわからない「空間実装」した場をつくることで「サステナブル素材の魅力を伝えていこう」という試みです。
ひときわ目を引いたのが、株式会社REMARE(リマーレ)さんが取り組む、海洋プラスチックからアップサイクルされたマテリアル。ニュースでもよく話題になる海洋ゴミから回収されたプラスチックを、REMAREさんはアーティスティックな素材へと再生。その表情の面白さ、美しさには当社のデザイナー陣が目を留め、また多くのお客様がそのコンセプトに共感していました。
そのほか、インテリアでは必ずと言っていいほど用いられる「石膏ボード」をアップサイクルした株式会社 On-Coさんの「resecco(リセッコ)」や、埼玉県・飯能の西川バウム合同会社さんにお借りした「乾燥中」の木材*など、たくさんのアイディアとヒントをご紹介しました。
*参考:西川バウム合同会社×株式会社乃村工藝社協働プロジェクト
ちなみにスタッフが着用している法被(はっぴ)。これは内装材メーカーの株式会社サンゲツさんから廃番となったカーテン生地を提供していただき、横浜を中心に活躍するアートディレクター・矢内原充志さん(スタジオニブロール)がデザイン・縫製してくださった1点もの。こちらも廃素材が素晴らしい作品に生まれ変わっています。
R&D活動紹介
より能動的なソーシャルグッドとして、乃村工藝社グループが今年から積極的に取り組んでいるのがR&D活動です。グループ全体で100名を超える有志メンバーが、7つのテーマに分かれて自主的な研究開発に取り組んでいます。今回はその中から5つのチームが展示・発表を行い、熱心なプレゼンテーションを行っていました。多くのお客様に賛同をいただき、新たな協働がはじまろうとしています。
サステナブル空間ソリューション
CO2排出量削減、ゼロウェイスト実現のための取り組みとして、BIMを活用したCO2排出量可視化やプレカット工法開発と、循環型資源活用につながるサステナマテリアルを紹介しました。
会場で4回行われた「プレカット工法」のミニセミナーには多くの聴衆が集い、さまざまな業種・業界での注目の高さが感じられました。これからのR&Dへの期待が高まります。
地域資源の再発見と、地域価値の創造
藍染の暖簾が目印となったこのブースでは、「地域とつながる起点を創る」をミッションに、空き家を活用した文化財の保存・継承、商店街問題へのアプローチ、そして地域のウェルネス拠点構想などを紹介しました。
実は今回のイベントで「影のMVP」と言われ、多くの人の心(舌)を鷲掴みにしていたのが、広島県・瀬戸田のエコレモンをまるごと贅沢に使ったレモンソーダ。これは地域創生の活動から繋がったご縁から生まれた企画で、瀬戸田レモンの鮮烈な香りが会場に清涼感を漂わせていました。
歓びと感動学
乃村工藝社は空間を通じた「歓びと感動」づくりを仕事にしていますが、この歓びと感動のメカニズムを科学的に検証しようというのが本テーマです。
これまでの竣工物件の写真をもとに行う視線・脳波計測体験をはじめ、「空間と音の関わりの分析」などの研究テーマを紹介しました。
設置されたブースでは実際に脳波計を装着し、写真やVR空間を見ることで脳波の変化を見るデモンストレーションが行われました。
インクルージョン&アート
多様な人々が空間・デザイン・文化芸術体験を介して社会や世界とつながり、新しい価値観に出会うことを目指す本チーム。今年行った3つのプロジェクトの成果を発表しました。
フェアウッド・プロジェクト
近年、研究開発と実装が加速している国産材の活用。乃村工藝社ではおよそ10年前からフェアウッドの活用に力を入れています。今年は無垢材の新たな価値の探索のため林野庁の補助事業を活用し、三菱地所、東京大学、神奈川工科大学と協同して実証実験を推進しています。
今回のソーシャルグッドウィークでは素材の違う2種の木質空間がお目見え。内装素材がどのような気分や感情の変化をもたらすのかを分析していきます。来場者からは「無垢材の空間の方が居心地がよく、ずっといたいと思える」などの声が聞かれました。
サステナブルマルシェ
イベントらしいユニークな取り組みが、野菜や花を販売するマルシェ。突然現れたマルシェに「何故!?」という驚きもありましたが、これもソーシャルグッドを身近に感じ、考えてもらうためのアイディア。
「Vegengers Veggie(ベジンジャーズ ベジ)」は、株式会社トリデンテさんが運営する、生産農家の人材不足課題やフードロスといった社会課題解決を目指して生産者と消費者をつなぐマルシェ事業。見るからに新鮮で美味しそうな野菜は2日間でリピーターも生み、見事完売しました。
「MY FAVORITE THINGS」さんは「日常を”お気に入り”でカスタマイズ」をコンセプトに、素敵な3姉妹が展開するライフスタイルブランド。ウェルビーイングやアップサイクルをコンセプトにした花や花材を出店していただき、文字通り会場に「花」を添えてくださいました。
社会をよりよくする「仲間づくり」
未来につづく「しあわせ」を考える、をテーマに開催したソーシャルグッドウィーク。このイベントを通して再認識されたのは、仲間をつくる大切さです。セミナーや展示に対していろいろな感想やコメントをいただくとともに、「是非一緒にやりたい」「当社ではこんなことをやっている」という具体的な協業や共同研究の萌芽が生まれました。
社会貢献というと、まだまだ「ビジネスになるの?」という声は多く、懐疑的である方もたくさんいらっしゃいます。しかしその一方で、社会に良いことをしながらも事業としても成り立つアイディアを持ち、動きはじめている方がどんどん生まれているも事実。このような人々を集め、つなぎ、共感できる仲間をつくっていくことが何よりも大事だなあ、と感じられた2日間でした。
わたしたちと一緒にソーシャルグッドに取り組みたい方、ぜひご一報ください。
乃村工藝社グループのソーシャルグッド活動紹介ページはこちら
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