- text and edit by
- 竹内 東子
個人的な趣味として、骨格標本をつくっています。
魚の頭や豚足をぐつぐつ煮て、きれいにして組み立てるのが好きです。
パーツとパーツがカチッとはまるとき、自然の立体パズルをやっているような気分になります。
魚の骨をよく見てみると、教会建築の柱のように構造が複雑に組み合わさって、繊細な美しさを見出すことが出来ます。
写真は様々なタイの頭。初心者なのでパーツが足りないのはご愛敬。
同じタイでも、食べるものによって歯の形が全く違うなど、見どころは尽きません。
左からマダイ、クロダイ、ヘダイ、イシダイ
標本をつくるきっかけは、テキサス滞在中に大学のキャンパスに落ちている鳥の羽を拾ったこと。
気になって探してみるようになると、いろいろな羽根や骨が落ちていました。
そしてある日、車に轢かれて白骨化したアルマジロに出会います。
(テキサスではよくあること)
帰国してからも骨や羽を拾いたい気持ちがあったのですが、東京ではなかなか出会うことが出来ません。
そこで、前出のように食材から骨格標本をつくるようになりました。
しかし、むくむくとこみ上げる欲望。もっと色々なものを作りたい!
そこで、ジビエ工房めいほうさんにご協力頂き、ニホンジカの頭部と足先を入手しました。
ジビエ工房めいほうHP
http://gibier.meiho.info/index.html
Facebookページから、ジビエのお肉が購入できます!
岐阜県美濃地域の北端、飛騨高地に位置する郡上市明宝は、長良川の支流、吉田川の流れる山里です。
ご協力頂いた工房では、増えすぎたイノシシやシカを山の恵みに変え、地域の課題である獣害から「食べて山を守る」を実践しています。
鹿肉は赤身中心で脂が少なく、さっぱりと食べられるのに、肉らしい味わいを楽しむことが出来ます。
個人的にも、もっと流通して気軽に食べられるようになってほしい!
譲っていただいたのは25㎏のオス。
おそらく今年生まれた個体ということで、角もなく、骨もまだ華奢な感じがします。
この何もないつるんとした頭から、年齢とともに角となるものが生えてくるのは不思議ですね。
シカの年齢は歯の摩耗具合でもわかるのですが、まだピカピカのギザギザ。大臼歯も生えそろっていません。
大人になると歯茎を突き破って大臼歯が生えてくるとのこと。
ふむふむ、シカにも親知らずがあるのですね。
前歯(切歯)は下側しかないですが、どうやって使っているんだろう?
実物を触っていると、疑問と興味がどんどん出てきます。
ここまでくると誰にでも勧められる趣味ではありませんが、食卓に上がる鳥や魚の骨でも、同様に楽しむことが出来ます。普段食べている肉や魚を食べるとき、骨をよく見てみてください。その構造の面白さや美しさに気づくと、ミュージアムで標本を見るとき、また自然の中で生き物を見るとき、新鮮な驚きがそこにあると思います。
都内で骨格標本を見ることができるお勧めスポットは、インターメディアテクです。東京駅近くKITTEにある、日本郵便株式会社と東京大学総合研究博物館が協働で運営するミュージアムですが、ここではたくさんの骨格標本を見ることが出来ます。
インターメディアテク
http://www.intermediatheque.jp/
インターメディアテク2階常設展示風景
© インターメディアテク 空間・展示デザイン © UMUT works
大迫力のキリン、ウマをはじめ、大小さまざまの哺乳類から両生類や魚類まで、都内の常設展でこれほど現生生物の骨格標本を見る機会はあまりありません。
是非、クラシカルで落ち着いた雰囲気の空間の中で、生き物の中に内包されたフシギに出会ってみてください。
手軽にできるお勧めは擬鎖骨集め。「鯛のタイ」とも呼ばれる、胸鰭を支える肩甲骨を含む部分です。
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