新・空間歳時記をつくる『お月見』-やってみた!完結編-

サトウ ヒデキ
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サトウ ヒデキ

おさらい・前回のお話し 

昨年の12月にアップした前話より、随分と期間が開いてしまったので、ちょっとおさらいを。

「中秋の名月には間に合わなかったけれど、ニューノーマルなお月見をやるぞ!」と、拳を天に突き上げながら『新・空間歳時記』第3弾となる秋のイベント【お月見】の開催を高らかに宣言するワタシ、そして….

1. 正統なお月見スタイルの踏襲
2. さまざまな月を楽しむ
3. 風流に、月を肴に一杯!

この3つのコンセプトをもとに、もちろん、新型コロナウイルス感染防止策を講じ、3密を回避できるよう オンライン&人のいない屋外でのリアル中継を並行した “ハイブリッド開催”で「ライブ感を取り入れながら実行してみよう!」というのが前回までのお話しでした。

その記事の続編であり、開催の報告となる本記事が、正月/節分/ひな祭りという日本古来の行事をとうに過ぎ、【お花見】の時節さえ過去となってしまったことを深くお詫び申しあげます(平謝!)

※関連の記事はこちら
『新空間歳時記をつくる】秋のイベント・予告編
『新空間歳時記をつくる】秋のイベント・準備編

★果たして、【お月見】イベント当日の夜、キレイなお月様は現れたのでしょうか?(写真は10月の満月)

【ニューノーマルなお月見】をひらく 

2020年11月30日(月)、秋のイベントとしては季節感的にギリギリの開催となってしまいましたが、満月を迎えるこの日、お天気も良く、その夜にはまん丸のお月さまに出会えそうです。

東京の月の出の時刻は16:26。月を観るには、ある程度高度があった方が良いことに加えて、メンバーが業務や家事を終えて落ち行く時刻を考慮し、20:00スタートでノムログ編集部主催の【お月見】は開幕したのであります。

今回も【春のお花見】※の時と同様に、各自がそれぞれ食べ物(お供え)とお酒を用意することにしましたが、「正統なお月見スタイルの踏襲」と「風流に、月を肴に一杯」のコンセプトに則ったモノを各自が事前に仕込むところから「このイベントは始まっていた!」と言っても過言ではないでしょう。では、参加メンバーが自ら用意したお月見アイテムを紹介していきます。

各々の場所からオンライン月見。 お月見アイテムを持って記念のスクリーンショット!自ら撮影したお月さまの写真を背景にしてくれた人もいますね。何故か、指定のお月見アイテム以外の何かを手に持つ人も!

【お月見】といえば三方の上にピラミッド状に盛ったお団子のイメージがあると思いますが、ワタシたちのような素人では準備が大変なので、“月見お団子のルーツ”とも云われる『月餅』を各自で用意することしたのです。

しかし、岡本編集部員(中段右)は近所の和菓子屋さんに頼んで、なんと素敵な『月見団子』を作ってもらえたそうです!そしてススキの代わりに風流な松の盆栽を卓上に。絵になるね!

また、市川編集部員(中段中央)は、前日にご夫婦でお団子づくりにチャレンジしたそうですが、硬くなりにくいレシピで作ったにもかかわらず、出来上がった時からすでに硬くなってしまったので、市販の月餅を買ったそうです。ご夫婦でのお団子づくりって、微笑ましいな~。

お団子に代えての『月餅』でしたが、手にしているのは参加者9名中5名! 「きっと、コンビニでもどこでも気軽に買えるだろう」と高を括っていたのですが、探してみると意外と見つからない!岡崎編集部員(下段中央)は、直前までスーパーを走り回ってようやく見つけたそうです。

ワタシ、ヒデキ(上段右)も同じようなもので、近隣でやっと見つけた市販の月餅では納得がいかず(せっかくなのでチョットいいヤツが食べたい!)、お月見前日にソロキャンプで訪れた西伊豆の高級志向のスーパーで、ナッツと胡麻の2種をようやくゲットできました。本当は中華街で手に入る満月みたいな『塩卵の黄身』が入ったヤツが欲しかったんですけどね~。胡麻の月餅は、後日、忙しくてお酒も月餅も用意できなかった瀧編集部員(中段左)にお裾分けしました。

その瀧さんと青いラベルのサワーと月餅を手にした森田編集部員(上段左)は、自ら撮影したお月様を背景画面に設定してくれました。まさにオンラインイベントらしい演出!

お団子や月餅ではなく意外なモノを手に持っているのは、2021年度からこのノムログの編集長に就任した 田中編集部員(下段右)は、なんと『ぐんま名月りんご』というネーミングを持つ、お月見にふさわしいリンゴを見つけてきてくれました。

酒&LUNA TALK

★ワタシ、ヒデキが苦労の末に見つけた “お月見にふさわしい名のお酒” と2種類の月餅。伝統に則って卓上に据えたススキは、前日に伊豆の野で摘んできました。

そうそう、月餅やお団子の他にもお月見アイテムとして、今回は、「月の名がつくお酒を用意する」というのもミッションのひとつでありました。

実は、これが意外に難しくもあり、また楽しい作業であったことを報告させて頂きます。写真を見るとその苦労が良くわかります。参加者が手にしているお酒は、月の名はつかないそれっぽいイメージのモノが多くないですか? ネット等で調べると月の名がつくお酒はたくさんヒットするので、それほど難解なミッションではなかろうと提案したのですが、いざ実際の酒店に探しに行くと意外なほど見つからない!あったとしてもチョットお値段が張ったりして手が出ないといった状況で、結局、月餅と同様に、前日、西伊豆のスーパーでこのイベントにふさわしい名のお酒をようやく手に入れました。

横田編集部員(下段左)からも、「“月”という言葉を頼りに商品を探す楽しさが、たまりませんでした」と、同様の感想を頂きました。 横田さんが手にしているのは、『雪月花』という秋田の銘酒で、その晩のおでんに良くマッチングしたそうです。

メンバーによる各自のお月見アイテムが披露されたあとは、「月」にまつわるエピソードを語る、題して『LUNA TALK』の時間に移ります。

神田編集部員(上段中央)からは、ご自身の故郷である秋田の郷土料理『だまこ鍋』のお話。『だまこ』とはお団子のことで、月見団子にちなんでの美味しい地方グルメ情報でした。

瀧編集部員からは、『Paper Moon』という言葉の意味を調べたときのお話。舞台の背景や写真館の背景として作られた紙でできたお月さまを語源に、「作り物」や「まやかし」という意味で使われるようになったという語源の解説からそれにまつわるお話を紹介してくれました。ロマンチックだな~。

そして、ワタシから10月の西伊豆ソロキャンプで撮影した10月の満月写真と撮影エピソードのスライドショーを披露しました。

★こんな感じで、撮影秘話を交えながらのスライドショー。BGMはもちろん、鬼束ちひろさんの『月光』です。

そんな中で撮れた奇跡の♡型のお月さまがコチラ!↓

★なんと不思議なお月さま!UFO写真より貴重かも!

実は、多重露光という手法で撮影したなかの失敗写真なのです(苦笑)
望遠レンズでお月さまを撮影する際に手振れして、偶然♡型になってしまいました。①②⑤⑥の写真が多重露光の成功例ですが、良い構図を作るためになかなか苦労しました。

お台場からのLIVE中継

お月見アイテムや『LUNA TALK』で会も盛り上がってきたところで、唯一、乃村工藝社お台場本社にいたワタシは、“人のいないリアルなお月見中継場所“ である屋上へとノートパソコンを持って上がります。

★会社に今回の主旨をお話して、特別に許可をもらい夜の本社屋上に出る。レインボーブリッジを望む場所からリモート中継。11月末日の風は冷たい!

「さぶっ!」 晩秋の夜、海に近い13階の建物の屋上ということもあって、冷たく強い風が吹いています。そして南東の空を見上げるとキレイな満月が浮かんでいました。

★いいカンジに高度を上げた11月の満月。右奥に青くライトアップされた東京ゲートブリッジが見える。

パソコン搭載のカメラを満月に向け、お台場の夜景とまん丸のお月さまを自宅でオンライン参加のメンバーに中継します。画面に映る満月はとても小さいけれど、ライブ感は伝えられたかな?

ここで、今回最後のミッション、「風流に、月を肴に一杯!」を実践すべく、持参したぐい飲みカップに満月を浮かべてみようと思います!【月見酒】で画像検索するとたくさん出てくる風流なビジュアルですが、なんとも粋なお酒の楽しみ方ですよね、一度やってみたかったのでこの機会にチャレンジしてみました。

月下に出て、杯の中心にお月さまが映り込むようにしてみます…. がしかし、
強い風に煽られて、お酒の水面が揺れるため、お月さまはちゃんとカタチをとどめずまん丸の姿では浮かびませんでした。残念!

★実際にやってみて、盃に月を浮かべるのは無風状態もさることながら、月の高度も大事なことに気づきました!

メインイベントのお台場LIVE中継も終えたところで、徐々にフリートークに移行しながら三々五々解散。
なんとか無事に【ニューノーマルなお月見】は楽しいうちに終了しました。

参加者の感想

後日、このお月見を振り返ってどうだったか? 参加者の皆さんにやってみての感想などを聞いてみましたので、抜粋して紹介していきましょう。

お月見、実はこれが初めてだったので新鮮でした!笑・改めて月の形や色を愛でるきっかけができた。→この企画のお陰でこの1ヶ月、夜外を歩いている時はなんとなく月を意識して見ていました。
・準備物を買ったお店の方々とのコミュニケーションが豊かになった。→「お月見のため」と話すと大体みなさん感動して下さり、お店の人に対しても月を見るきっかけを作れた。
・オンラインなのでリアルタイムで月を見ながらのお月見は難しかったが、月にまつわるエピソードや食事だけでも、お月見感を感じられた。(初めてだったのでなんとも言えないですが笑)

→和菓子屋さんに『お月見団子』を作ってもらった岡本編集部員、「お月見は初めて」の体験だったんだね(ニコッ!) お店の方々との良い会話のきっかけができて良かった!

お月見を開催するとなり、確かに月を見る機会が増えたように思います。十日夜に向かっているのかも。とか、昨日より少し丸くなったなあ。などお月見の日をカウントダウンするような気持ちが芽生えました。月にはやはり「時」を示す機能あるのだと実感させられました。また、意識的に”月”を探していたので、月に関する言葉にも目が行くようになったように思います。月にまつわるカルチャーは、どの国もロマンを感じるものが多いですね。世界中の人が知っている存在ですもんね。今回のようにテーマを設けると、参加者それぞれの思いを自然と共感しやすかったです。大人数・初対面のディスカッションの際もしくはコンパ?!などに有効だと思いました。そもそもお月見がみんなで集まり結束を強める目的もあったと思いますので、そのような効果も働いているのも納得です。

→大阪からリモート参加の瀧編集部員、「みんなで集まり結束を強める目的もあった」の気づきは、実際にやってみた人だから言える言葉ですね。普段、誰の身近にも存在する“月”がテーマだったことも共感を生みやすかった要因かも知れませんね。

ハロウィンが終わり12月も近づくと世の中はクリスマス一色ですが、月にちなんだ食べ物やお酒を用意してゆっくり月を見上げるお月見というのはなんともオトナなイベントだなと感じました。また、お花見と違ってやろうと思えば一年中できるので、飲食でのプロモーションのアイディアにも生かせそうです。

→お団子づくりには失敗してしまった市川編集部員でしたが、それも含めて楽しんで頂けたようです。お花見のときはもう少し“浮かれ気分”があったような気がしますが、あれは冬を乗り越えて春の到来に浮かれるのでしょうね。

お月見やろうと言われてからなんとなく月が出ていると形とかチェックしてみている気がします。お花見も夏合宿もそうでしたが、みんなが何を用意してるんだろう、というワクワク感は毎回ありますね。お花見の時も言いましたが、9人いるのに本当に内容がかぶらない。笑

→『だまこ鍋』のレシピも併せて感想につけてくれた神田編集部員、「9人いるのに本当に内容がかぶらない。笑」そこが、我等ノムログ編集員たちの絶妙なチームワークかな?(笑)

普段から子どもとの保育園帰りや昼間の白い「月」を見上げることが多かったのですが、今回の企画をきっかけに毎日気にしていた気がします。カタチや大きさ、色の感じまで、よくよく見ると毎回違うのだな、と感じました。このお話が出る前に、住宅街の道の先に大きな満月が見えて、本当に今まで見た中で一番綺麗な月だ!と感動したことがあって、このために写真におさめておけばよかった!と後悔しました。

→少し遅れての参加となった横田編集部員、「今までに見た中で一番綺麗な月」 多分、東の空に上がったばかりの満月なのだろうなと推測します。 昇りっぱなのお月さまは大きく、独特な輝き方をしますよね。

緊急事態宣言のときに、久しぶりに満月を自宅から見て、また忙しくなると月をみるということをすっかり忘れていたのですが、今回の企画のおかげでまた月を意識してみるようになり、すごく良い時間でした。今日はどんな月なのか?このあたりからだと見えるのか?みたいことを時々意識してみるようになり、イベント当日だけでなくその前後での行動を含めて変化があり、楽しかったです。今回に限らず、そのイベントの時間だけでなく、イベントをやることでの体験者・参加者の行動変化とか気づき、みたいなことがトータルでイベントの価値なのかなあと思わされました。

田中編集部員、皆さん同じように、今回のお月見イベント開催をきっかけに “月”を意識するようになり、イベント当日までの期間に夜の空を見上げたり、お月見アイテム探しをしたりと、準備期間にも人それぞれの様々な視点で【お月見】を楽しんだようですね。

今回のイベントは春夏のときのように、ニューノーマルなイベントをお題とした第三者的な視点での「開催後の考察は行わない」という話し合いのもと、「単純に【お月見】を楽しもう!」ということでしたので、先に紹介した参加者の皆さんの感想を持って記事を締めくくらせて頂きたいと思います。

ちなみに、イベント終了後に帰宅したワタシは、深夜にひっそり自宅のベランダで、もう一度【月見酒】にチャレンジしたことを報告しておきましょう! そのときの写真がコチラ↓

★風が止んだ深夜に、茅ヶ崎の空に浮かぶお月様を杯に浮かべてみたが….

「エッ? まん丸のお月さまは浮かんでいるけど、こんなに小さいの?」
どうやら、よく見る大きなお月さまが盃に浮かぶ【月見酒】の写真は、「満月に見立てた電球などを映し込んだイメージビジュアルなのだな!」ということをその時に初めて気づいたのでした。 (おしまい)

ヒデキ

※春のお花見記事(2020年春の記事です)
次世代のお花見を探る -企画編
オンライン花見をやってみました
次世代のお花見を探る -考察編-

※夏合宿の記事はこちら(2020年夏の記事です)
オンライン夏合宿 -企画編-
オンライン夏合宿 -体験編-
オンライン夏合宿 -考察編-

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絶賛連載中! 『ヒデキのゆるゆる渚歩記』 back number はこちら!

ep8 「違和感を探せ!」クイズ編2 ep7「コレなに?」クイズ編 ep6「コロナ禍の浜辺」
ep5「漂着ゴミ図鑑」 ep4「いきもの図鑑」 ep3「自然感察眼」 ep2「ボトルメッセージ
ep1「海岸ミュージアム」

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テクニカルディレクター(いろいろ擬態中)
G坂本並みの守備範囲と打撃力

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